ruby/doc/irb/irb.rd.ja

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irb -- interactive ruby
$Release Version: 0.9.5 $
$Revision$
by Keiju ISHITSUKA(keiju@ruby-lang.org)
=begin
= irbとは?
irbはinteractive rubyの略です. rubyの式を標準入力から簡単に入力/実行する
ためのツールです.
= 起動
% irb
で行ないます.
= 使い方
irbの使い方は, Rubyさえ知っていればいたって簡単です. 基本的には irb と
いうコマンドを実行するだけです. irbを実行すると, 以下のようなプロンプ
トが表れてきます. 後は, rubyの式を入れて下さい. 式が完結した時点で実行
されます.
dim% irb
irb(main):001:0> 1+2
3
irb(main):002:0> class Foo
irb(main):003:1> def foo
irb(main):004:2> print 1
irb(main):005:2> end
irb(main):006:1> end
nil
irb(main):007:0>
また, irbはReadlineモジュールにも対応しています. Readlineモジュールが
インストールされている時には, それを使うのが標準の動作になります.
= コマンドオプション
irb.rb [options] file_name opts
options:
-f ~/.irbrc を読み込まない.
-m bcモード(分数, 行列の計算ができる)
-d $DEBUG をtrueにする(ruby -d と同じ)
-Kc ruby -Kcと同じ
-r load-module ruby -r と同じ.
--verbose これから実行する行を表示する(デフォルト)
--noverbose これから実行する行を表示しない
--echo 実行結果を表示する(デフォルト)
--noecho 実行結果を表示しない
--inspect 結果出力にinspectを用いる(bcモード以外はデフォルト).
--noinspect 結果出力にinspectを用いない.
--readline readlineライブラリを利用する.
--noreadline readlineライブラリを利用しない. デフォルトの動作は,
inf-ruby-mode以外でreadlineライブラリを利用しよう
とする.
--prompt prompt-mode
--prompt-mode prompt-mode
プロンプトモードを切替えます. 現在定義されているプ
ロンプトモードは, default, simple, xmp, inf-rubyが
用意されています. デフォルトはdefaultプロンプトモー
ドになっています.
--inf-ruby-mode emacsのinf-ruby-mode用のプロンプト表示を行なう. 特
に指定がない限り, readlineライブラリは使わなくなる.
--simple-prompt
非常にシンプルなプロンプトを用いるモードです.
--noprompt プロンプト表示を行なわない.
--tracer コマンド実行時にトレースを行なう.
--back-trace-limit n
バックトレース表示をバックトレースの頭から n, 後ろ
からnだけ行なう. デフォルトは16
--irb_debug n irbのデバッグデバッグレベルをnに設定する(利用しな
い方が無難でしょう).
-v, --version irbのバージョンを表示する
= コンフィギュレーション
irb起動時に``~/.irbrc''を読み込みます. もし存在しない場合は,
``.irbrc'', ``irb.rc'', ``_irbrc'', ``$irbrc''の順にloadを試みます.
オプションを設定する代わりに, 以下のコマンドでもデフォルトの動作を設定
できます.
IRB.conf[:IRB_NAME]="irb"
IRB.conf[:USE_TRACER]=false
IRB.conf[:USE_LOADER]=false
IRB.conf[:IGNORE_SIGINT]=true
IRB.conf[:IGNORE_EOF]=false
IRB.conf[:INSPECT_MODE]=nil
IRB.conf[:IRB_RC] = nil
IRB.conf[:BACK_TRACE_LIMIT]=16
IRB.conf[:USE_LOADER] = false
IRB.conf[:USE_READLINE] = nil
IRB.conf[:USE_TRACER] = false
IRB.conf[:IGNORE_SIGINT] = true
IRB.conf[:IGNORE_EOF] = false
IRB.conf[:PROMPT_MODE] = :DEFAULT
IRB.conf[:PROMPT] = {...}
IRB.conf[:DEBUG_LEVEL]=0
IRB.conf[:VERBOSE]=true
== プロンプトの設定
プロンプトをカスタマイズしたい時には,
IRB.conf[:PROMPT]
を用います. 例えば, .irbrcの中で下のような式を記述します:
IRB.conf[:PROMPT][:MY_PROMPT] = { # プロンプトモードの名前
:PROMPT_I => nil, # 通常のプロンプト
:PROMPT_N => nil, # 継続行のプロンプト
:PROMPT_S => nil, # 文字列などの継続行のプロンプト
:PROMPT_C => nil, # 式が継続している時のプロンプト
:RETURN => " ==>%s\n" # リターン時のプロンプト
}
プロンプトモードを指定したい時には,
irb --prompt my-prompt
でそのプロンプトモードで起動されます. または, .irbrcに下式を記述しても
OKです.
IRB.conf[:PROMPT_MODE] = :MY_PROMPT
PROMPT_I, PROMPT_N, PROMPT_S, PROMPT_Cは, フォーマットを指定します.
%N 起動しているコマンド名が出力される.
%m mainオブジェクト(self)がto_sで出力される.
%M mainオブジェクト(self)がinspectされて出力される.
%l 文字列中のタイプを表す(", ', /, ], `]'は%wの中の時)
%NNi インデントのレベルを表す. NNは数字が入りprintfの%NNdと同じ. 省
略可能
%NNn 行番号を表します.
%% %
例えば, デフォルトのプロンプトモードは:
IRB.conf[:PROMPT_MODE][:DEFAULT] = {
:PROMPT_I => "%N(%m):%03n:%i> ",
:PROMPT_N => "%N(%m):%03n:%i> ",
:PROMPT_S => "%N(%m):%03n:%i%l ",
:PROMPT_C => "%N(%m):%03n:%i* ",
:RETURN => "%s\n"
}
となっています.
RETURNは, 現在のところprintf形式です. 将来仕様が変わるかも知れません.
== サブirbの設定
コマンドラインオプションおよびIRB.confは(サブ)irb起動時のデフォルトの
設定を決めるもので, `5. コマンド'にあるconfで個別の(サブ)irbの設定がで
きるようになっています.
IRB.conf[:IRB_RC]にprocが設定されていると, サブirbを起動する時にその
procをirbのコンテキストを引数として呼び出します. これによって個別のサ
ブirbごとに設定を変えることができるようになります.
= コマンド
irb拡張コマンドは, 簡単な名前と頭に`irb_'をつけた名前と両方定義されて
います. これは, 簡単な名前がoverrideされた時のためです.
--- exit, quit, irb_exit
終了する.
サブirbの場合, そのサブirbを終了する.
--- conf, irb_context
irbの現在の設定を表示する. 設定の変更は, confにメッセージを送るこ
とによって行なえる.
--- conf.eval_history = N
実行結果のヒストリ機能の設定.
nnは整数かnilで nn>0 であればその数だけヒストリにためる。nn==0の時は
無制限に記憶する、nilだとヒストリ機能はやめる(デフォルト).
--- Conf.back_trace_limit
バックトレース表示をバックトレースの頭からn, 後ろからnだけ行なう.
デフォルトは16
--- conf.debug_level = N
irb用のデバッグレベルの設定
--- conf.ignore_eof = true/false
^Dが入力された時の動作を設定する. trueの時は^Dを無視する, falseの
時はirbを終了する.
--- conf.ignore_sigint= true/false
^Cが入力された時の動作を設定する. false時は, irbを終了する. trueの
時の動作は以下のようになる:
入力中: これまで入力したものをキャンセルしトップレベルに戻る.
実行中: 実行を中止する.
--- conf.inf_ruby_mode = true/false
inf-ruby-mode用のプロンプト表示を行なう. デフォルトはfalse.
--- conf.inspect_mode = true/false/nil
インスペクトモードを設定する.
true: インスペクトして表示する.
false: 通常のprintで表示する.
nil: 通常モードであれば, inspect modeとなり, mathモードの時は, non
inspect modeとなる.
--- conf.use_loader = true/false
load/require時にirbのfile読み込み機能を用いるモードのスイッチ(デフォ
ルトは用いない). このモードはIRB全体に反映される.
--- conf.prompt_c
ifの直後など, 行が継続している時のプロンプト.
--- conf.prompt_i
通常のプロンプト.
--- conf.prompt_s
文字列中などを表すプロンプト.
--- conf.rc
~/.irbrcを読み込んだかどうか?
--- conf.use_prompt = true/false
プロンプト表示するかどうか? デフォルトではプロンプトを表示する.
--- conf.use_readline = true/false/nil
readlineを使うかどうか?
true: readlineを使う.
false: readlineを使わない.
nil: (デフォルト)inf-ruby-mode以外でreadlineライブラリを利用しよ
うとする.
#
#--- conf.verbose=T/F
# irbからいろいろなメッセージを出力するか?
--- cws, chws, irb_cws, irb_chws, irb_change_workspace [obj]
objをselfとする. objが省略されたときは, home workspace, すなわち
irbを起動したときのmain objectをselfとする.
--- pushws, irb_pushws, irb_push_workspace [obj]
UNIXシェルコマンドのpushdと同様.
--- popws, irb_popws, irb_pop_workspace
UNIXシェルコマンドのpopdと同様.
--- irb [obj]
サブirbを立ちあげる. objが指定された時は, そのobjをselfとする.
--- jobs, irb_jobs
サブirbのリスト
--- fg n, irb_fg n
指定したサブirbにスイッチする. nは, 次のものを指定する.
irb番号
スレッド
irbオブジェクト
self(irb objで起動した時のobj)
--- kill n, irb_kill n
サブirbをkillする. nはfgと同じ.
--- source, irb_source path
UNIXシェルコマンドのsourceと似ている. 現在の環境上でpath内のスクリ
プトを評価する.
--- irb_load path, prev
Rubyのloadのirb版.
= システム変数
--- _
前の計算の実行結果を覚えている(ローカル変数).
--- __
実行結果の履歴を覚えている.
__[line_no]で、その行で実行した結果を得ることができる. line_noが負の
時には、最新の結果から-line_no前の結果を得ることができる.
= 使用例
以下のような感じです.
dim% ruby irb.rb
irb(main):001:0> irb # サブirbの立ちあげ
irb#1(main):001:0> jobs # サブirbのリスト
#0->irb on main (#<Thread:0x400fb7e4> : stop)
#1->irb#1 on main (#<Thread:0x40125d64> : running)
nil
irb#1(main):002:0> fg 0 # jobのスイッチ
nil
irb(main):002:0> class Foo;end
nil
irb(main):003:0> irb Foo # Fooをコンテキストしてirb
# 立ちあげ
irb#2(Foo):001:0> def foo # Foo#fooの定義
irb#2(Foo):002:1> print 1
irb#2(Foo):003:1> end
nil
irb#2(Foo):004:0> fg 0 # jobをスイッチ
nil
irb(main):004:0> jobs # jobのリスト
#0->irb on main (#<Thread:0x400fb7e4> : running)
#1->irb#1 on main (#<Thread:0x40125d64> : stop)
#2->irb#2 on Foo (#<Thread:0x4011d54c> : stop)
nil
irb(main):005:0> Foo.instance_methods # Foo#fooがちゃんと定義さ
# れている
["foo"]
irb(main):006:0> fg 2 # jobをスイッチ
nil
irb#2(Foo):005:0> def bar # Foo#barを定義
irb#2(Foo):006:1> print "bar"
irb#2(Foo):007:1> end
nil
irb#2(Foo):010:0> Foo.instance_methods
["bar", "foo"]
irb#2(Foo):011:0> fg 0
nil
irb(main):007:0> f = Foo.new
#<Foo:0x4010af3c>
irb(main):008:0> irb f # Fooのインスタンスでirbを
# 立ちあげる.
irb#3(#<Foo:0x4010af3c>):001:0> jobs
#0->irb on main (#<Thread:0x400fb7e4> : stop)
#1->irb#1 on main (#<Thread:0x40125d64> : stop)
#2->irb#2 on Foo (#<Thread:0x4011d54c> : stop)
#3->irb#3 on #<Foo:0x4010af3c> (#<Thread:0x4010a1e0> : running)
nil
irb#3(#<Foo:0x4010af3c>):002:0> foo # f.fooの実行
nil
irb#3(#<Foo:0x4010af3c>):003:0> bar # f.barの実行
barnil
irb#3(#<Foo:0x4010af3c>):004:0> kill 1, 2, 3# jobのkill
nil
irb(main):009:0> jobs
#0->irb on main (#<Thread:0x400fb7e4> : running)
nil
irb(main):010:0> exit # 終了
dim%
= 使用上の制限
irbは, 評価できる時点(式が閉じた時点)での逐次実行を行ないます. したがっ
て, rubyを直接使った時と, 若干異なる動作を行なう場合があります.
現在明らかになっている問題点を説明します.
== ローカル変数の宣言
rubyでは, 以下のプログラムはエラーになります.
eval "foo = 0"
foo
--
-:2: undefined local variable or method `foo' for #<Object:0x40283118> (NameError)
---
NameError
ところが, irbを用いると
>> eval "foo = 0"
=> 0
>> foo
=> 0
となり, エラーを起こしません. これは, rubyが最初にスクリプト全体をコン
パイルしてローカル変数を決定するからです. それに対し, irbは実行可能に
なる(式が閉じる)と自動的に評価しているからです. 上記の例では,
evel "foo = 0"
を行なった時点で評価を行ない, その時点で変数が定義されるため, 次式で
変数fooは定義されているからです.
このようなrubyとirbの動作の違いを解決したい場合は, begin...endで括って
バッチ的に実行して下さい:
>> begin
?> eval "foo = 0"
>> foo
>> end
NameError: undefined local variable or method `foo' for #<Object:0x4013d0f0>
(irb):3
(irb_local_binding):1:in `eval'
== ヒアドキュメント
現在のところヒアドキュメントの実装は不完全です.
== シンボル
シンボルであるかどうかの判断を間違えることがあります. 具体的には式が完了
しているのに継続行と見なすことがあります.
=end
% Begin Emacs Environment
% Local Variables:
% mode: text
% comment-column: 0
% comment-start: "%"
% comment-end: "\n"
% End:
%